CRYAMYを応援してくださっている皆様へ

私、カワノは先日完遂した6月16日の日比谷野外大音楽堂でのライブをもちまして、バンドを脱退することになりました。
どのようにご報告申し上げるか、ここまで幾多の逡巡を重ねた末、このようなタイミングでの発表となってしまいましたこと、また、直接のご報告が叶わなかったことを、まずはお詫び申し上げます。

現在のメンバーが正式に揃った2018年6月新宿でのライブから、また、個人的にはその以前、自分が上京した頃から、さまざまな形でお力をお借りした皆様にはどれほど深く感謝のお言葉を尽くせばよいかわからないほど、私だけでなく、メンバー・スタッフ一同からも、心より感謝申し上げます。


CRYAMYはこの約6年間、結成当初から音楽を通しての表現と詞や言葉、歌によるスタンスと強い芯を一切ぶれさせることなく、皆様に演奏と想いを届けることに全身全霊を注いで参りました。
また同時に、わたしたちの生み出す楽曲が安定・停滞するのを恐れ、次々と発表する楽曲の一つ一つで少しずつ進化や変化、更新を模索し、世間や大衆の声に合わせたような安易な形や、くだらない人間たちが作ろうとしているバンドシーンの潮流に飲み込まれることは強く拒否し、自分の価値観に合わない物事に対して徹底的に抗い続けて参りました。
理解を得られないことも多い孤独な戦いではありましたが、深く、真剣に情熱と信念を持って取り組むことが4人にしかできない演奏の形・バンドの姿勢であると信じることでバンド活動に邁進して参りました。

ただ、その6年間の過程というものは非常に過酷なものでした。
振り返るとその日々は、妥協や怠惰を許さないが故に、内部に、時には周囲にも常に異常な緊張感を強いながらの活動で、私たち一同は互いに激しく衝突し、軋轢を生み、時に憎しみを抱き合いながら走り続けることがいつしか日常のようになっていました。
それでもメンバーとスタッフは、さまざまな思いは抱えながらもそれに耐えながら、目の前にあることに一個一個全身全霊を尽くし、非常に誠実に取り組んできました。
しかし、その過程は想像を絶するような日々であったように思います。
6年という歳月は決して長くはないものかもしれませんが、誰もがその日々の中で精神をすり減らし、疲弊しながらの活動で、それは長く厳しい時間であったように思います。

また、楽曲を制作する私自身も、この歳月の中で健康な心身の状態を保つことが難しい状態にありました。
私が詞を書き出し、楽曲を作り上げ、それをライブで届ける過程は、よく言われる「身や魂を削る」という表現では決して表せないほどの壮絶なことです。
それでも、出来るだけ努力をして理想を追求すること、自分の中から湧いてくる歌われなくてはならない数々の言葉やメロディを完成させることを目指し、それゆえに決して休むことなく、絶え間なく形にしていかざるを得ませんでした。
そうしてバンドの活動が広がったり大きくなっていく中で、止むを得ず段々と自分の生活がバンドにまつわることのみに比重が傾いていく中で、平凡で穏やかな暮らしを切り崩していかざるを得ませんでした。
そのように、ここ2〜3年は、厳しい時間を絶え間なく繰り返す日々を送っていましたので、自分にとっては非常に難しい毎日を過ごすことがいつの間にか常になっていました。

そこに加えて、結成当初よりこのバンドのあらゆる全てのことの運営・決断を自分でやっている以上、バンドの活動の成功や失敗、周囲の人の生活の一切の状況は自分の肩にかかっている非常に責任ある立場であることも、大変難しいことでした。
CRYAMYは活動を続けていく中で、そこに向き合う上で考え方が合致し、バンドを委ねられる信頼のおける組織や人間に巡り合うことができませんでしたので、結果的に結成から今に至るまでレーベル・事務所などとは一度も契約することなく、メンバーと我々の信頼する限られたスタッフだけの少数精鋭で活動を続けて参りました。
そのため、常にバンドにまつわる全てを自分が決断し実行する、という状況にあり、それゆえに、私はいつしかバンドの活動や目標に対してあまりに多くのことを抱え込んでしまいました。
その結果、日々の業務が私にできる範囲を大いに超えてしまっていたことも大きな負荷となってしまい、それが音楽そのものに純粋に没頭・集中するということを、時に大きく阻害する要因でもありました。
また、自分達のできる範囲でなんとかバンドらしい活動を行っては参りましたが、一方で、後ろ盾なく私どもの力だけで活動し、音楽業界の人間や組織・団体と関わるということは残念ながら難しい局面も多々あり、時にメンバーやスタッフに理不尽で悔しい思いをさせてしまったこともありました。
私どもはそういった苦しみや怒りすらも絶対に創作に転化した自負はございますし、私たちの活動の方針は悔やむことなくむしろ誇りを持って選んだ道ではありましたが、多くの局面においては現実は厳しく、日々非常に難しいことをしていることを実感する毎日でした。

このような事情もあり、率直に申し上げて、私はここまでの活動の結果、バンドを続けていくことに疲れてしまいました。
これまでも大いに疲弊しながら全力で走ってきましたが、数年前からそれも難しいと感じてしまうようになり、ついに今は「苦しんででも走る」ということを選ぶだけの明確な理由が見当たらないというのが正直な思いです。

ですので、私は2022年末〜2023年に入ってすぐの頃から、このバンドを近い将来に必ず終わらせることをを見据えて、我々一同が限られた時間で悔いなくやり遂げることや、我々を応援してくださっている皆様にとってもより良い結末を描けるように活動を続けて参りました。
実際、スティーブとのシカゴでの素晴らしいレコーディングが行えたこと、自分の身体的な不調もメンバーの努力とスタッフの助力で乗り越えて無事アルバムを届け各地ツアーを回れたこと、最後の日比谷野音でのワンマンライブはチケット完売を果たした上で素晴らしいライブにできたことで、自分としてはこのバンドにできる事を全てやり遂げられた、という喜びと達成感を得ることができました。

しかし、活動からのリタイアを望む私の心情と反して、他のメンバー3名やスタッフ、私たちに関わる人々のバンド存続を願う思いは非常に強く、全てが終わった後も、幾度かの説得を受け、話し合いを行って参りました。
結局、私は私以外のバンドに関わる人間のその思いを汲み、バンドの解散を避ける一方で、自分自身の状況・心情やここまでの活動を総括し、けじめをつける意味で、何より、このバンドでの活動が私にとって自分が自分らしく生きていくためであったことに最後まで背くことなく、2024/6/16のライブを最後に、私がCRYAMYを去るということとなりました。

ひょっとしたら必要以上に丁寧に事情を説明してしまったので、長くなってしまいましたが、簡潔にまとめます。
自分が今の世の中で音楽を作り、発表し、人前で演奏するということが、ここに至った上でどうしても魅力的には感じられなくなってしまったこと、純粋な想いで音楽活動をすることがあらゆる面で非常に難しいと感じていること、ここまでの活動で自分にできることを精一杯やりきった感覚・自負があること。
私がバンドから脱退する理由は、以上に述べた理由で、ただただこれに尽きます。
ですので、バンドを去って以降、今後私個人で音楽にまつわる活動を行うこともございませんし、そのほかにも私が表立って何かを発信していくことも今後はございません。
CRYAMYというバンドが、これからも私の最後の活動の場であります。

私は胸を張って、「苦難もあったが、常に死力を尽くし、最後には振り返って悔いのない時間を過ごすことができた」と断言できますが、一方でここが私の限界だったようです。


脱退という結果に至るにあたって、他のメンバー3人とは随分久しぶりに、非常に率直に話をすることができました。
私同様、彼らもそれぞれが辛い年月を過ごしたので、非常に疲弊していましたが、3名は考え方は違うものの、それぞれがしっかりはっきりと自分が音楽に向き合う上での大切な意志と、CRYAMYというバンドが追求してきた美学を確かにそれぞれ持っておりました。

彼らの出した結論は、私の脱退後も、3名ともCRYAMYというバンドの存在とそれをサポートするスタッフを今後も守っていくこと、今後もバンドの存在を残しあくまでバンドの一員として邁進することを望んでいる、というものでした。
また、私たちに関わるスタッフたちも同様の気持ちを強く持っており、今後も携わっていくとのことでした。

実際のところ「私が去る」という結果は、話し合いを重ねた末の今にあってもなお、メンバー・スタッフ一同誰もが心の底からは納得はしておりませんし、また、身勝手にも彼らを残してしまうことにもなるため、心から申し訳なく、非常に心苦しく思うのですが、3名は私がバンドを去ったあとも、CRYAMYというバンドに残り存続させ、その上でそれぞれの活動を自分のペースでそれぞれのできる範囲で力を入れていくそうです。
そして3人を、現場 / レーベルのスタッフ陣はこれまで通り欠ける事なく、彼らそれぞれに可能な限りサポートしていくことを約束してくれました。
ですので、どうか引き続き、願うことならばこれまで以上に、どのような形になっても彼らのことを応援してくれると、私はとても嬉しいです。

私は去りますが、CRYAMYというバンドとレーベル「NINE POINT EIGHT」は、引き続きこれまで通りにメンバー・スタッフの有志によって形を残し、運営を続けて参ります。
私が去った後のバンドの今後は未定ですが、レーベルは設立以来からの仲間たちの手によって変わらず、CRYAMYの残した作品・楽曲はこれまで通り取り扱ってもらえるようなので、これからもどこかでご愛聴いただけますと幸いです。

改めて、CRYAMYスタッフと、このバンドに関わって力をかしてくれた人たちみんなに心から感謝しています。


そして何より、このバンドを応援してくれた皆様、本当にありがとうございました。

言葉の価値や命の重さというものが薄く・軽くなってしまった時代にありながら、それを大切に歌を作ってきた私どもの楽曲を、心から非常に大切にしてくださった方が、どこかに確かに存在してくれたことがとても嬉しかったです。
そして、どこかの街でCDやレコードを買ってくれた皆さん、世界中でなんらかの方法で楽曲を聴いてくれていた皆さんが実際に時間を割いてライブに足を運んでくださったこと、そんな皆様を前に全国各地のどこかで演奏を聴いてもらえたこと、そのような形で長い人生のほんのひとときでも尊い縁を皆様からわずかでもいただけたこと、心から嬉しく、また、これからも大切にしていこうと思っています。

何よりも、2024/6/16の当日、日比谷野音のステージの上から見た、そこにいる一人一人の顔を見て、ここに駆けつけた一人一人のために全てをかけて歌うべくこれまでのライブや制作の時間があり、この日最大限我々一同のベストを尽くし、最高のライブにするために、この日まで走ってきたのだ、と心の底から思いました。
私もこの日にできた素晴らしい演奏と皆様一人ひとりの思いを背負い、ずっと生きていきます。そして、この日駆けつけた皆様にとって、人生のどこかでこの日が糧となる日がきっとあると、それだけのものを見せられたと、強く信じております。

この日のライブの最後にお伝えしたように、これらからも私の歌は絶対に皆様のそばで歌われ、そばにずっとございます。
ここまで活動を続けられたのは、本当にみなさんのおかげでした。


最後になりますが、皆様からこれまでに賜りました暖かく、真摯な応援と支援、想いに心からの感謝を述べさせていただき、終わりとしたいと思います。

本当にどうもありがとうございました!
皆様と同じく、CRYAMYとは、私にとっても特別なバンドでございます。

CRYAMY / NINE POINT EIGHT カワノ


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